経営監視Vol.35 5/18 付別刷りbe掲載「悩みのるつぼ」の記事に関して組合声明を発表

朝日新聞を調査報道する――

労働組合「朝日新聞再生機構」機関誌 経営監視Vol.35
5/18 付別刷りbe掲載「悩みのるつぼ」の記事に関して組合声明を発表

私たちオール朝日ユニオンは6月25日、(5月18日付け別刷りbe)について、朝日新聞が公に読者の批判や意見に応えることを求めた「申し入れ書」を社に提出し、団体交渉を求めました。

「朝日新聞やめようかな」「今回はさすがにやめようと思っている」「ひどい答えとひどい男性記者のコメント。世界の腐敗はこのような平凡な悪でできている」「どうしたらこんな狂った感覚が出てくるのか。言葉を超える」「朝日廃刊くらいの危機に拡大」「回答掲載についての朝日の考えも、どのように掲載に至ったのかの経緯も謎のまま」。ネット上で見られる批判は辛辣です。これらを、「よくある朝日批判」と切り捨てることはできません。多くの読者から寄せられている批判や失望、怒り、疑問に対し、朝日新聞は率直に向き合い回答する必要があります。朝日新聞に働く一員として私たちはまず、読者の信頼を裏切ったことをお詫びいたします。すでに多くの議論が交わされている通り、当該記事には看過できない多くの重要な問題点があります。

第一に回答が新聞報道の役割を事実上否定していること。報道はたしかに当事者の声を100%伝えるものではありませんが、「非当事者」としての立場性をもつがゆえにこそ、ある種の客観性を保ち、事の理非を世界に問いかけるものです。「現地に行かなければわからない」なら、新聞を読む意味はありません。

そして第二に、朝日新聞社員である編集委員の「コメントプラス」が、読者を揶揄し冷笑するものであったこと。多くの読者が相談者と同じように、新聞を読むことを通じて世界の不正義や理不尽に心を痛め、少しでもそれを正すことに寄与する方法はないかと心を痛めているはずです。コメントは相談者のみならず、多くの読者を揶揄し冷笑するものです。読者を愚弄して新聞は成り立ち得ません。

第一の論点とも通底しますが、「不正義や理不尽な行動を伝える新聞報道を見るたび、怒りに燃え」ることを冷笑することが知的でスマートであるかのようなふるまいは、いま世にあふれているのではないでしょうか。しばしば朝日新聞こそがそのような冷笑のターゲットにもされてきました。さらに新聞社の内部までもが冷笑主義にむしばまれているとしたら、おそるべき報道の危機でもあります。冷笑主義の蔓延は、普遍的な正義や人道という価値観に対する深刻な脅威をもたらすものです。私たちオール朝日ユニオンは、新聞社に働く労働者として断固、こうした冷笑を排します。

私たちは今回のケースをきっかけに、社が記者の言論をコントロールすべきであるとか社外筆者の管理に注意を払えといった議論に与するものではありません。もとより社外筆者の言論は尊重されなければなりませんし、紙面に登場する社外筆者が新聞社の社論と一致しているとは限りません。今回のような記事を掲載する意義があるとしたら、新聞がそれをきっかけとして起こる議論のフィールドとなることだと思います。残念ながら、今回、朝日新聞はそうした役割も果たせていません。

私たちオール朝日ユニオンは今回のケースに対して会社に真摯な対応を求めるだけでなく、「権力から独立し、言論の自由を貫き、正確で偏りのない敏速な報道によって、民主国家の完成と世界平和の確立に力をつくす」という朝日新聞綱領にのっとった紙面作りを実現すべく努力することを改めて表明するものです。

2024年6月28日
オール朝日ユニオン