経営監視vol.17「渡辺雅隆社長退陣、これだけの問題点」

朝日新聞を調査報道する――
労働組合「朝日新聞再生機構」機関誌 (2020年12月8日発行)

(1) 早すぎる退陣表明は批判回避の狙い
(2) 失敗事業はすべて渡辺社長が始めた
(3) 本業軽視で部数凋落
(4) 渡辺社長が「他責の文化」とはおこがましい 彼が朝日人としてどう生きてきたかが問われる

労働組合「朝日新聞再生機構」機関誌
経営監視vol.17「渡辺雅隆社長退陣、これだけの問題点」

(1) 早すぎる退陣表明は批判回避の狙い

 朝日新聞社の渡辺雅隆社長は11月30日、中間決算の概要を発表した経営説明会の場で、社長を退陣することを表明しました。2020年度決算の9月中間決算は、売上高が前年同期比15%減の1027億円に落ち込むうえ、純損益が408億円の損失という創業以来初の巨額赤字に陥るためです。渡辺氏は後継社長に中村史郎副社長を起用することを明らかにし、自身は「(中村)新体制への移行をサポートしていく」と述べ、今後も何らかの形で朝日新聞社に経営に関与することを宣言しました。

 この渡辺氏のやり方には非常に問題があります。巨額赤字の元凶である自身は居直る半面、経営悪化に直接の責任がない社員に対しては、「希望退職の募集」「大規模な要員シフト」などの形でしわ寄せする可能性があるからです。自身を棚上げして、社員を犠牲にする。倫理上、とても許されるものではありません。

 朝日新聞社の役員人事は3月末ごろに内定するのが慣例ですが、今回は有力OBや大株主から責任追及の声があがる前に、あえて自ら退陣を表明することによって「渡辺下ろし」の機先を制したと見ることができます。早々に中村氏を後継指名することによって、自らの手で後継体制を構築し、自身の地位を保全しようとしているのでしょう。中村氏は自らを社長に処遇してくれた渡辺社長に報いるために、何らかのポストを彼に用意すると見るのが自然です。すなわち今回の退陣表明は、すべて渡辺氏自身の「保身」を最大の目的としたものと考えられます。

(2) 失敗事業はすべて渡辺社長が始めた

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(3) 本業軽視で部数凋落

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(4) 渡辺社長が「他責の文化」とはおこがましい
朝日人としてどう生きてきたかが問われる

 朝日新聞は2013年、パナソニックやリコー、ソニーなど大企業に広がる「追い出し部屋」の存在を暴き、人権を無視した退職強要を批判的に報じてきましたが、これと同じようなことが当社でも起こりうる懸念があります。

 私たち朝日新聞再生機構は、連合加盟の東京管理職ユニオンや日本労働弁護団など闘争経験豊富な労働運動家や弁護士と連携しています。しかも第一組合と重複加盟は可能です。リストラの危機を感じる社員の皆さん、自らの身を守る保険として、あるいはリストラ攻撃を跳ね返す抑止力として再生機構に加入してはいかがでしょうか。組合費は月額たった500円です。

以上